Sakana AIは、2023年にDavid Ha(CEO)氏、Llion Jones(CTO)氏、伊藤 錬(COO)氏によって設立された東京を拠点とする研究開発企業です。
2026年4月、Sakana AIは新たな研究成果「Learning to Orchestrate Agents in Natural Language with the Conductor」を発表した。本研究はICLR 2026に採択されており、AIが複数のAIを管理・統括する「AIマネージャー」の実現に向けた重要な一歩として注目を集めている。

ICLRとは


AIを賢くするのではなく、AIチームを賢くする
従来のAI開発では、より大規模なモデルを学習し、単体性能を向上させることが主流だった。
一方、Sakana AIのConductorは異なるアプローチを採用する。Conductor自身は約70億パラメータ(7B)の比較的小型なモデルだが、GPT-5、Claude、Geminiなど複数の高性能モデルを指揮し、最適なチームを編成する。
Conductorは問題を受け取ると、
- どのAIを利用するか
- どのような役割を与えるか
- どの情報を共有するか
を決定する。
これにより、単純な質問では1回の推論で回答し、複雑なコーディングや推論タスクでは例えば「計画担当」「実装担当」「検証担当」などの役割を自律的に編成する。
強化学習によってチーム編成を学習
特徴的なのは、ワークフローを人間が設計していない点だ。
Conductorは強化学習(Reinforcement Learning)を通じて、どのようなチーム構成や指示方法が高い成果を生むかを学習する。結果として、モデル選択やプロンプト設計、エージェント間の情報共有方法まで自律的に最適化できるようになった。
Conductorは単なるモデルルーターではなく、「AIチームのマネージャー」として機能する。
GPT-5単体を超える性能を達成
論文では、LiveCodeBenchやGPQAなどの難易度の高いベンチマークで評価を実施。
その結果、Conductorは単独のGPT-5やClaude、Geminiを上回るスコアを達成したと報告されている。また、従来のマルチエージェント手法よりも少ないトークン数と実行ステップで高い性能を実現している。
これは「優秀な個人」よりも「優秀なマネージャーと専門家チーム」の方が高い成果を生み出せるという、人間社会と似た構造がAIの世界でも成立することを示唆している。

Fuguの中核技術として実用化
Conductorの技術は、Sakana AIが提供するマルチエージェントサービス「Fugu」の中核技術として利用されている。現時点ではConductorの学習済みモデルやソースコードは公開されておらず、商用サービスとしての展開が優先されているとみられる。
Sakana AIの RSI(Recursive Self-Improvement) に関する取り組み
RSI(Recursive Self-Improvement)は、AIが自らを改良し、その成果を基にさらに能力を高めていく「自己進化型AI」の概念だ。Sakana AIは、このRSIの実現に向けた研究にも取り組んでいる。

AI開発の次の競争領域へ
これまでのAI競争は単体モデルの性能向上が中心だった。しかし今後は、しかし今後は、「どのAIを組み合わせるか」「どのように協調させるか」や、AI自身が研究・改良を繰り返す「RSI(Recursive Self-Improvement)」が競争力の鍵になる可能性がある。Conductorはその協調知能を、RSI Labはその自己進化の未来を示す取り組みとして注目されそうだ。
参考資料
公式
- Sakana AI公式記事「Learning to Orchestrate Agents in Natural Language with the Conductor」
- arXiv論文「Learning to Orchestrate Agents in Natural Language with the Conductor」
- OpenReview(ICLR 2026採択論文)
- Sakana Fugu Beta 公式ページ https://sakana.ai/fugu-beta/
- AI GitHub Organization
- Sakana AIについて
- https://sakana.ai/rsi-lab/
- https://github.com/sakanaai
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