Dockerのボリュームとバインドマウントは、どちらもコンテナとホスト間でデータを共有する方法ですが、動作や用途にいくつか違いがあります。以下で詳細に比較します。
(参考)Docker公式ドキュメント:ボリューム
https://docs.docker.com/engine/storage/volumes
(参考)Docker公式ドキュメント:バインドマウント
https://docs.docker.com/engine/storage/bind-mounts
目次
1. ボリュームとは
概要
- Dockerが管理するストレージ領域を利用してデータを保存します。
- ボリュームのデータはホストのファイルシステム上に保存されますが、Dockerがその場所を管理します。
- ボリュームは、それを使用するコンテナーのサイズを増加せず、ボリュームの内容が特定のコンテナーのライフサイクル外に存在するため、コンテナーの書き込み可能なレイヤーにデータを保持するよりも、ボリュームの方が適していることがよくあります。
特徴
- ボリュームの保存場所はデフォルトでホストの
/var/lib/docker/volumes/
にあります。 - データはDockerが自動的に管理するため、ホストのディレクトリ構造に依存しません。
- コンテナを削除してもボリュームのデータは保持されます。
作成方法
明示的に作成:
docker volume create my_volume
コンテナの作成・起動時に作成:
この例では -v
フラグを使用しています。(他に--mount
フラグを使用することもできます。)
docker run -d -v my_volume:/app/data my_image
用途
- 永続化データの保存(例: データベース、ログファイル)。
- 複数コンテナ間でのデータ共有(例: データが共有されるマイクロサービス)。
2. バインドマウントとは
概要
- ホスト上の指定されたファイルやディレクトリをコンテナ内にマウントします。
- ホスト側のパスを直接指定してコンテナにマウントするため、Dockerによる管理は行われません。
特徴
- ホスト上の任意のパスを指定可能。
- コンテナからホスト側のデータに直接アクセス可能。
- ホスト側のファイルやディレクトリがそのまま使用されるため、ホスト側のディレクトリ構造に依存します。
- バインド マウントはパフォーマンスが非常に優れていますが、ホスト マシンのファイル システムに特定のディレクトリ構造があることが前提となります
作成方法
- コンテナの作成・起動時に指定:
この例では-v
フラグを使用しています。(他に--mount
フラグを使用することもできます。)
docker run -d -v /path/on/host:/app/data my_image
- バインドマウントの場合、最初のフィールドはホストマシン上のファイルまたはディレクトリへのパスです。
- 2 番目のフィールドは、コンテナー内でファイルまたはディレクトリがマウントされるパスです。
用途
- 開発環境で、ホスト上のコードをリアルタイムでコンテナ内に反映。
- ホスト上の設定ファイルをコンテナ内で使用(例:
nginx.conf
やapplication.properties
)。
3. ボリュームとバインドマウントの比較
項目 | ボリューム | バインドマウント |
---|---|---|
管理 | Dockerが管理 | ユーザーがホストのパスを直接指定して管理 |
保存場所 | デフォルトで/var/lib/docker/volumes/ | ホスト指定の任意のパス |
データの永続性 | コンテナを削除してもデータが保持される | ホスト上のデータがそのまま使用される |
ホスト依存性 | ホストに依存しない | ホストのファイル構造に依存 |
パフォーマンス | 高速(Dockerのストレージドライバが最適化) | ホストのファイルシステムに依存 |
用途 | 永続化データ、コンテナ間のデータ共有に適している | 開発環境やホストファイルの共有に適している |
設定の容易さ | 自動管理、簡単に複製可能 | 手動でパス指定が必要 |
4. 使用例
ボリュームを使った例
永続化データの保存(例: データベース)
ホスト側のファイルシステムに保存場所を意識せず、ボリュームを利用してデータを永続化。
docker run -d --name db-container \
-v my_db_volume:/var/lib/mysql \
mysql
コンテナ間でのデータ共有:
docker run -d --name app1 -v shared_volume:/shared app_image1
docker run -d --name app2 -v shared_volume:/shared app_image2
バインドマウントを使った例
ホスト上の設定ファイルを使用:
docker run -d --name nginx-server \
-v /path/to/nginx.conf:/etc/nginx/nginx.conf \
nginx
開発環境でコードをリアルタイムに反映
docker run -d --name app-container \
-v /path/to/code:/usr/src/app \
my_app_image
ホスト上のコードをコンテナ内で使用でき、変更が即時反映される。
5. 選択の基準
ボリュームを選ぶ場合
- 本番環境:
- コンテナ間でのデータ共有が必要。
- データの永続化が重要(例: データベースやログファイル)。
- 管理の簡略化:
- ホストのディレクトリ構造に依存せず、Dockerによる一元管理を希望。
- Dockerのストレージ管理を利用してパフォーマンスやセキュリティを最適化したい場合。
バインドマウントを選ぶ場合
- 開発環境:
- ホスト上のコードや設定ファイルを即時反映したい。
- ホスト依存の設定:
- 特定のホストファイルを利用する必要がある場合(例: ログファイルやシステム設定)。
6. 結論
- ボリュームは、本番環境や永続化が必要なデータ保存に最適です。
- バインドマウントは、開発時やホスト上の特定のファイルをコンテナ内で使用したい場合に便利です。
適切なシナリオで使い分けることで、効率的なコンテナ運用が可能になります。
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