CIDR(Classless Inter-Domain Routing)(サイダー)は、IPアドレスの範囲を効率的に表現し、ネットワークを柔軟に管理するための表記法です。CIDR表記は、特定のIPアドレスの範囲を指定する際に用いられ、特にサブネットを設定する際に役立ちます。
IPアドレスについては、こちらで解説しています。
IPアドレスとサブネットマスクの権限設定については、こちらで解説しています。
サブネットマスクとCIDRの関係
サブネットマスクとCIDR(Classless Inter-Domain Routing)は、ネットワークの範囲を指定するための方法 です。
CIDR表記はサブネットマスクを 短縮して表現したもの と考えると分かりやすいです。
1. サブネットマスクとは?
サブネットマスクは、IPアドレスのどの部分が「ネットワークアドレス」で、どの部分が「ホストアドレス」かを決めるビットの組み合わせ です。
例えば、以下のようなサブネットマスクがあります。
サブネットマスク(10進数) | サブネットマスク(2進数) | ネットワークビット数 |
---|---|---|
255.0.0.0 | 11111111.00000000.00000000.00000000 | /8 |
255.255.0.0 | 11111111.11111111.00000000.00000000 | /16 |
255.255.255.0 | 11111111.11111111.11111111.00000000 | /24 |
この「1の部分」がネットワークアドレス、「0の部分」がホストアドレスを示します。
CIDR表記の構造
CIDRは、IPアドレスの後に「スラッシュ(/)」とビット数を追加する形式で表記されます。
- 例:
192.168.1.0/24
192.168.1.0
はネットワークアドレス。/24
はサブネットマスク(ビット数)を示し、ネットワーク部分のビット数が24ビットであることを意味します。
このサブネットマスクにより、ネットワークのサイズが決まり、残りの部分がホスト(デバイス)に割り当てられるビット数になります。
CIDRの用途
CIDRはIPアドレスの範囲指定に役立ちます。例えば、192.168.1.0/24
は、192.168.1.0
から 192.168.1.255
までの256個のIPアドレスを含む範囲を示します。
- /32 は単一のIPアドレスを示します(例:
192.168.1.10/32
は192.168.1.10
のみを指す)。 - /24 は通常、256個のアドレス範囲(例:
192.168.1.0/24
は192.168.1.0
から192.168.1.255
)。 - /16 は65,536個のアドレス範囲(例:
192.168.0.0/16
は192.168.0.0
から192.168.255.255
)。
CIDRのメリット
- アドレスの効率的な利用
CIDRにより、従来のクラスベースのIPアドレス割り当て(クラスA、B、C)に比べて柔軟にネットワークのサイズを調整できるため、IPアドレスの無駄を減らせます。 - サブネット化の柔軟性
CIDRを使用すると、ネットワークを細かくサブネットに分割でき、特定の規模や要件に応じたアドレス範囲を設定できます。 - ルーティングの最適化
CIDRによるルーティングは、ルータが経路をまとめて管理できるため、ルーティングテーブルのサイズを抑え、ネットワークのパフォーマンスを改善します。
AWSでのCIDR利用例
AWSでは、VPCのIPアドレス範囲をCIDR表記で設定します。たとえば、10.0.0.0/16
と指定すると、このVPC内で 10.0.0.0
から 10.0.255.255
までのIPアドレスを利用できます。また、VPC内でさらにサブネットに分割する際にもCIDRを使用し、異なるサイズのネットワークを作成します。
参考
AWS CIDRとは?
https://aws.amazon.com/jp/what-is/cidr
JPNIC:CIDR
JPNICは1993年3月に発足した、 日本国内においてIPアドレスやAS番号といったインターネットにおける番号資源の管理を行うための団体です。 1997年には、社団法人化しました。 その後、2013年に一般社団法人(非営利型)へと移行しています。
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/cidr.html
IETF Datatracker:CIDR
IETF Datatracker は、IETF 標準に携わる人々のための、IETF データベースの日常的なフロントエンドです。IETF
のドキュメント、ワーキング グループ、会議、議題、議事録、プレゼンテーションなどに関するデータが含まれています。
https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc4632
IETF Datatracker:IPv4のアドレス管理に関する標準(RFC 791)
https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc791
IETF
1986 年に設立されたインターネット エンジニアリング タスク フォース (IETF) は、インターネットの最高標準開発組織 (SDO) です。IETF は、インターネット ユーザー、ネットワーク オペレーター、機器ベンダーによって採用されることが多い自主標準を作成し、インターネット開発の方向性を形作るのに貢献しています。
https://www.ietf.org/about/introduction
コメント