AWSでチームで作業を行い、無料利用枠を活用するための登録手順は以下の通りです。AWSの無料利用枠は個人でもチームでも利用可能で、適切に設定すればコストを抑えながらクラウドリソースを使って共同作業ができます。
1. AWSアカウントを作成する
- AWSの公式ウェブサイトにアクセスして、AWSのサインアップページから新しいアカウントを作成します。
- アカウント作成には、名前、メールアドレス、パスワード、電話番号、支払い情報(クレジットカードなど)が必要です。ただし、無料利用枠があるので、無料枠内の利用であれば請求されません。
2. 無料利用枠を確認する
- AWSには以下の3つの種類の無料利用枠があります。
- 常時無料(永久無料):Amazon DynamoDBやLambdaの無料リソースの一部が永続的に利用可能です。
- 12か月間無料:新規登録後12か月間、S3、EC2、RDSなどのリソースが一定量まで無料で利用可能です。
- 試用期間無料:特定のAWSサービスが30日間などの短期間に無料で使えます。
- これらを使って、プロジェクトに必要なリソースが無料枠内で動作するか確認しておくことが重要です。
3. IAMを使ってチームメンバーのアカウントを設定
- AWSでは、**IAM(Identity and Access Management)**というサービスを使用して、チームメンバーにアクセス権を付与できます。これにより、メインアカウントの資格情報を共有せずに、各メンバーに適切な権限を設定して作業が可能です。
- IAMユーザーの作成:IAMダッシュボードに移動し、各メンバーに対して個別のIAMユーザーを作成します。メンバーごとにアクセス権限を設定します(例:読み取り専用、書き込み権限、管理者権限など)。
- IAMグループの設定:グループを作成して、同じ権限を持つユーザーをまとめて管理することも可能です。
4. チームでのリソース管理
- AWSの無料利用枠はアカウント単位なので、各チームメンバーが共有アカウント上で作業する場合でも、使用量を追跡し、無料枠を超えないように注意する必要があります。
- コスト管理とアラートの設定:AWS Billing and Cost Managementを使って、無料枠の使用状況をモニタリングし、無料枠の上限に近づいた際に通知を受け取るように設定します。
5. AWSアカウントのセキュリティ
- メインアカウントには**MFA(多要素認証)**を設定し、強固なセキュリティを保ちましょう。IAMユーザーに適切なポリシーを適用し、必要最小限の権限を付与するのがベストプラクティスです。
6. 共同作業のための便利なAWSサービス
- Amazon S3:ファイル共有やデータの保存に役立ちます。
- Amazon EC2:開発環境のセットアップに使えますが、無料枠内で適切なインスタンスタイプを選ぶことが重要です。
- AWS CodeCommit:Gitリポジトリをホストでき、チームでのコード管理に便利です。
- AWS Cloud9:ブラウザベースのIDEで、リモートでの共同開発が可能です。
これらの手順を進めることで、AWS無料利用枠を有効に活用しながら、チームでの共同作業がスムーズに進行できます。
IAMを使ってチームメンバーのアカウントを設定
IAM(Identity and Access Management)は、AWSでアクセス管理を行うためのサービスで、チームメンバーごとに個別のアカウントを作成し、必要な権限のみを付与することができます。以下に、IAMを使用してチームメンバーのアカウントを設定する手順と、それに関連するベストプラクティスを詳しく解説します。
IAMの基本概念
- IAMユーザー:特定の個人(チームメンバー)に付与されるアカウント。ユーザーはAWSコンソールにログインし、指定されたリソースにアクセスできます。
- IAMグループ:複数のIAMユーザーをまとめ、共通の権限を一括で管理できます。
- IAMポリシー:ユーザーやグループに割り当てる、リソースへのアクセス権限を定義するルールセット。
- IAMロール:特定の権限セットを一時的に付与する機能で、ユーザーやサービスが一時的に別の権限を持つことを可能にします。
1. IAMユーザーの作成
まず、各チームメンバーに個別のIAMユーザーアカウントを作成し、必要な権限を付与します。
手順:
- AWS Management Consoleにサインイン:
- AWSのルートアカウント(メインアカウント)でサインインします。
- IAMダッシュボードに移動:
- AWS Management Consoleの検索バーで「IAM」と入力し、IAMサービスを開きます。
- ユーザーの追加:
- IAMダッシュボードの左側にある「ユーザー」タブを選択し、「ユーザーを追加」ボタンをクリックします。
- ユーザー名とアクセスタイプの設定:
- 新しいユーザーに名前を付けます。例えば、「developer1」や「designer1」など、役割に応じた名前が推奨されます。
- アクセスタイプでは、以下のいずれか、または両方を選択できます:
- プログラムによるアクセス(APIやAWS CLIでのアクセスを許可する場合)
- AWS Management Consoleへのアクセス(ブラウザでのAWSコンソールへのログインを許可する場合)
- 一時パスワードの設定(コンソールアクセスの場合):
- ユーザーがAWSコンソールにサインインできるようにする場合、最初のサインイン時に変更が求められる一時的なパスワードを設定します。
2. IAMポリシー(権限)の付与
ユーザーやグループに対して、アクセス権限を定義するポリシーを割り当てます。ポリシーはJSON形式で記述されており、AWSが提供する管理ポリシーも利用できます。
手順:
- ユーザーに直接ポリシーを割り当てる:
- ユーザーを作成する過程で「既存のポリシーを直接アタッチ」を選択し、AWSの用意した管理ポリシーを選びます。例えば:
- AmazonS3ReadOnlyAccess:S3バケットの読み取り専用アクセスを許可。
- AdministratorAccess:管理者権限をフルで許可。
- AmazonEC2FullAccess:EC2のフルアクセスを許可。
- ユーザーを作成する過程で「既存のポリシーを直接アタッチ」を選択し、AWSの用意した管理ポリシーを選びます。例えば:
- IAMグループを作成してポリシーを一括管理する:
- 複数のユーザーに同じ権限を付与する場合は、グループを作成し、そのグループにポリシーを割り当てます。
- 例:開発者グループに「AmazonEC2FullAccess」ポリシーを適用し、そのグループにすべての開発者を追加することで、グループ内の全員が同じ権限を持てます。
3. IAMグループの作成
チームが役割ごとに分かれている場合(例:開発者、デザイナー、管理者など)、IAMグループを作成して、それぞれに適切な権限を設定するのが効率的です。
手順:
- グループの作成:
- IAMダッシュボードの左側にある「グループ」をクリックし、「グループを作成」ボタンを押します。
- グループ名を指定:
- グループ名を入力します(例:
Developers
、Admins
など)。
- グループ名を入力します(例:
- ポリシーを選択してグループに割り当て:
- グループに適切なポリシーを割り当てます。例えば、開発者グループには「AmazonEC2FullAccess」、管理者グループには「AdministratorAccess」など。
- ユーザーをグループに追加:
- グループ作成後、ユーザーをグループに追加します。これで、そのグループ内のユーザーは自動的にグループのポリシーに従った権限を持ちます。
4. IAMロールの作成
IAMロールは、ユーザーやサービスに一時的な権限を付与するために使用します。たとえば、特定の操作を実行する際に別の権限が必要な場合に便利です。
手順:
- ロールの作成:
- IAMダッシュボードで「ロール」を選択し、「ロールを作成」ボタンをクリックします。
- 信頼されたエンティティの選択:
- ロールを付与するエンティティを選択します。例えば、EC2インスタンスがS3にアクセスできるようにする場合など、特定のAWSサービスを選択します。
- ポリシーのアタッチ:
- ロールに付与するポリシーを選択します。例えば、EC2インスタンスがS3バケットにアクセスできるように「AmazonS3ReadOnlyAccess」を付与します。
- ロールの作成:
- ロールの作成が完了すると、ユーザーやサービスにロールを割り当てることができます。
5. MFA(多要素認証)の有効化
IAMユーザーには、セキュリティを強化するためにMFA(Multi-Factor Authentication)の設定を推奨します。これにより、パスワードに加えて、一時的なコードが必要になります。
手順:
- IAMユーザーにMFAを設定:
- IAMダッシュボードの「ユーザー」から、MFAを設定したいユーザーを選択し、「セキュリティ認証情報」タブを開きます。
- MFAデバイスを割り当て:
- 「MFAデバイスの管理」から、仮想MFAデバイス(スマートフォンアプリなど)を設定します。
6. コスト管理とアラートの設定
各チームメンバーがリソースを利用する際に、無料利用枠を超えないようにするため、AWSのコスト管理機能を活用します。アカウントの使用量が無料枠を超えそうになったら、アラートを受け取れるように設定します。
- Billing and Cost Managementダッシュボードで、アラート設定を行い、コストが上限に達した際に通知を受け取ることができます。
これらの設定を行うことで、AWS上で安全にチームメンバーが作業できる環境を構築できます。必要な権限を適切に管理することで、セキュリティを確保しながらチームの効率的な運用が可能になります。
IAMユーザーについて補足
AWS Identity and Access Management で複数の多要素認証 (MFA) デバイスのサポートを開始 ユーザーあたり最大 8 個の MFA デバイスを追加でき、これには FIDO セキュリティキー、仮想認証アプリケーションを使用したソフトウェアタイムベースドワンタイムパスワード (TOTP)、ハードウェア TOTP トークンが含まれます。
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