Apache License 2.0は、商用利用を含む幅広い利用を許可するオープンソースライセンスですが、商用利用にあたっては以下の注意点を理解しておくことが重要です。
Apache License 2.0 ライセンス
1. 著作権表示の保持
Apache License 2.0に基づいて配布されるソフトウェアを利用する場合、元の著作権表示、ライセンスのコピー、変更内容に関する通知などを保持しなければなりません。これは、ライセンスの内容が正確に伝えられるようにするためです。
具体的には、ソースコードやバイナリ形式で配布する場合でも、著作権表示やライセンスのテキストをパッケージに含める必要があります。商用ソフトウェアにApacheライセンスのコードを含める場合も、この要件を守る必要があります。
2. 修正の明示
Apache License 2.0のもとでソースコードを修正して再配布する場合、修正箇所を明示しなければなりません。これは、元のコードと変更部分を区別するための重要な要件です。商用製品に統合する際にコードを変更した場合も、どのファイルを修正したのかを記載する義務があります。
修正箇所の明示義務について
Apache License 2.0では、コードを改変して再配布する場合において、修正したこと自体を「明示する義務」があります。
公式条文 第4条「Redistribution」より(要点):
You must cause any modified files to carry prominent notices stating that You changed the files;
変更したファイルには、ファイルを変更したことを示す目立つ通知を記載する必要があります。
ソースファイル先頭の追記例(修正通知)
/*
* Modifications copyright (C) 2025 YourCompany Inc.
* Changes: Optimized performance for commercial deployment
*/
NOTICEファイルへの追記例
This product includes software developed by The Apache Software Foundation (http://www.apache.org/).
Modifications have been made to this software by YourCompany Inc. for commercial use.
3. 特許ライセンスの付与
Apache License 2.0の大きな特徴として、特許に関する保護条項が含まれています。この条項により、ソフトウェアの提供者がそのソフトウェアに関して特許を保有している場合、利用者はその特許を侵害することなくソフトウェアを使用できます。ただし、特許保護が適用される範囲や内容を十分に理解しておくことが重要です。
もし特許権者が後にソフトウェアの利用者を特許侵害で訴える場合、ライセンスの下で自動的にその特許権の利用権を喪失します。このため、商用利用に際しては、特許の管理に注意し、他者の特許を侵害していないか確認することが大切です。
4. 商標の使用
Apache License 2.0は、ソフトウェアに付属する商標に対して特別な権利を付与しません。つまり、Apacheライセンスで提供されているソフトウェアの名前やロゴを商用製品で使用する場合、別途商標権者の許可が必要です。この点を見逃すと、商標侵害のリスクが発生します。
5. ライセンス適合性の確認
Apache License 2.0のコードを商用ソフトウェアに統合する際、他のライセンスとの互換性を確認する必要があります。Apache License 2.0はパーミッシブなライセンスであるため、多くのオープンソースライセンスとの互換性がありますが、GPLのようなコピーレフトライセンスとの組み合わせには注意が必要です。
参考
お客様は、以下の条件を満たす限り、本作品またはその派生作品のコピーを、改変の有無にかかわらず、ソース形式またはオブジェクト形式で、あらゆる媒体で複製および配布することができます。
a.作品または派生作品のその他の受領者には、本ライセンスのコピーを渡さなければなりません。
b.変更したファイルには、ファイルを変更したことを示す目立つ通知を記載する必要があります。
c.お客様が配布する派生作品のソース形式においては、派生作品のいかなる部分にも関連しない通知を除き、作品のソース形式からのすべての著作権、特許、商標、および帰属表示を保持する必要があります。
d.作品に配布物の一部として「NOTICE」テキスト ファイルが含まれている場合、お客様が配布する派生作品には、派生作品のどの部分にも関連しない通知を除き、そのようなNOTICEファイル内に含まれる帰属通知の読み取り可能なコピーを、以下の少なくとも 1 つの場所に含める必要があります。派生作品の一部として配布されるNOTICEテキスト ファイル内、派生作品とともに提供される場合はソース フォームまたはドキュメント内、または、そのような第三者の通知が通常表示される場合は、派生作品によって生成される表示内。NOTICE ファイルの内容は情報提供のみを目的としており、ライセンスを変更するものではありません。お客様は、配布する派生作品内に、作品のNOTICEテキストと一緒に、またはNOTICEテキストの補遺として、独自の帰属通知を追加できます。ただし、そのような追加の帰属通知がライセンスを変更するものと解釈されないようにしてください。
お客様は、お客様の改変に対して独自の著作権表示を追加することができ、また、お客様の改変、または派生作品全体に対して、追加または異なるライセンス条項および条件を規定することができます。ただし、お客様による作品の使用、複製、および配布は、本ライセンスに規定された条件に準拠するものとします。
引用元:https://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0
まとめ
Apache License 2.0は商用利用に非常に適しているライセンスですが、以下の点に注意する必要があります:
- 著作権表示やライセンスの保持
- 修正箇所の明示
- 特許権の保護と管理
- 商標の無許可使用の回避
- 他のライセンスとの互換性の確認
公式なApache License 2.0の詳細については、以下のリンクから確認できます:
Apache License 2.0 公式ドキュメント
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